博物館ニューストップページ博物館ニュース121(2020年12月5日発行)海部川の生きもの 徳島県南部のアカメ(121号特集)

海部川の生きもの 徳島県南部のアカメ【特集 新常設展の私のイチオシ!】

動物担当 井藤大樹

アカメ

来年8月にオープン予定の新常設展には、「川の自然と生きもの」をテーマに展示するコーナーがあります。このコーナーでは、徳島県の代表的な川として、吉野(よしの)川、那賀(なか)川、海部(かいふ)川をピックアップし、そこに生息する生きものを展示します。今回は、その中でも“海部川の生きもの”の展示について少しだけ紹介したいと思います。

海部川は、高知(こうち)県との県境付近の湯桶丸(ゆ とうまる)という山に源を持ち、海陽(かいよう)町を流れ、太平洋(たいへいよう)に注ぎこみます。この川は、大きなダムが建設されることなく、自然のままの美しい川の姿がよく残されています。新常設展では、海部川とその周辺に生息する魚や植物、昆虫などの実物標本やレプリカを展示します。その中でも、私のイチオシはアカメの剥製(はくせい)です(図1)。

アカメは、体長が1.2 mほどになる大型のスズキ目の魚で、静岡(しずおか)県から鹿児島(かごしま)県の沿岸部や汽水湖、河口域に分布します。釣り好きの人ならこの魚をよく知っているのではないでしょうか。というのも、アカメは生きた魚を食べるため、ルアーフィッシングの対象になっているのです。アカメの主な生息地として、高知県の四万十(しまんと)川がよく知られており、多くの釣り人が全国からアカメを求めて四万十川を訪れます。実は、四国では高知県だけではなく、徳島県にもアカメが生息しています。

“海部川の生きもの”の展示では、徳島県海部郡で採集されたアカメの剥製を展示します。この剥製は、全長が70 cmくらいの中型個体ですが、背中が盛り上がり、力強い魚体で、アカメの特徴がよく表れています。また、いぶし銀色のウロコも美しく、釣り人達が憧れるのも納得する、とてもかっこいい魚です。

徳島県には、アカメをはじめ、様々な魅力的な生きものが生息しています。新しい展示では、徳島県に生息する生きもの達のおもしろさやかっこよさも伝えていきたいと思っていますので、楽しみにしていてください!

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