Q.白花のホトケノザはめずらしいですか?【レファレンスQ&A】
植物担当 茨木靖
A. 真っ白いホトケノザ!とってもきれいですね(図1)。ホトケノザは畑の縁や田んぼのあぜなどにごく普通に見られるシソ科の植物で、通常(つうじょう)は赤紫色の花をしています。
図1 花の白いホトケノザ
この白いホトケノザは徳島市内の小学生が持ってきてくれました。質問はこんなのを見つけましたが珍(めずら)しいですか?というもの。私もこれまでに一度も白花のホトケノザは見たことがありませんでしたし、そんな話も聞いたことがありませんでした。そこで、博物館の標本を調べてみると、たった一枚だけ海部(かいふ)郡由岐(ゆき)町で採られたものがありましたが比較的(ひかくてき)珍しいもののようです。
花の色はいろいろな色素で決まっており、特に紫系の色はアントシアニンなどの色素が関係しています。きっと、この個体ではそれが何らかの理由で無くなってしまったのでしょう。
このような質問(しつもん)がなければ、たとえ野山でホトケノザを見つけても、何気(なにげ)なく見過(みす)ごしていたかもしれませんが、このことがあってから私も身の回りのホトケノザを注意して観察(かんさつ)するようになりました。
けれども、探してみるとなかなか白花のホトケノザは見つかりません。そんなある日、阿南(あなん)市の畑の中を歩いていると草むらの中に白い花を見つけました。その時は、「とうとう白花のホトケノザを見つけたぞ!」と思いましたがよーく見るとそれはホトケノザではなくキツネノマゴ(図2)。
図 2 白花のキツネノマゴ
キツネノマゴは花こそホトケノザに似ていますが、オオイヌノフグリなどに近いゴマノハグサ科の植物です。ホトケノザはシソ科でシソやハッカのなかま。ちなみに春の七草で言うホトケノザはキク科のコオニタビラコ(図3)のことで、ここで言うホトケノザとはちがい、タンポポなどに近いものです。
あーぁ、残念(ざんねん)。せっかく見つけたと思ったのわけに・・・。こんな訳(わけ)で、とうとう私は白花のホトケノザを見つけることができませんでしたが、みなさんはどこかで見かけたことはありませんか?
図 3 コオニタビラコ
もしどこかで白花のホトケノザや、その他にもいろいろなおもしろい草花を見つけたら、ぜひ私にも教えてください。