前山第1号墳の発掘調査(平成13年8月18日撮影)【表紙】
考古担当 高島 芳弘
前山古墳群は名西郡石井町の標高160mほどの尾根上に立地する古墳群で、1号墳と2号墳があります。
1号墳・2号墳ともに全長18m前後の前方後円墳で、後円部と前方部の比率は1号墳ではほぼ1:1、2号墳では2:1となっています。1号墳の前方部はほぼバチ形に広がっています。一方、2号墳の前方部はやや直線的に広がり、その平面形は宮谷古墳と非常に似ているようです。
1号墳の後円部やや西よりには竪穴式石室が築かれています。墳丘の主軸(東西)に直交してほぼ南北の主軸を持ち、長さは約3.1mです。幅は北側で1m、南側で0.8mあります。
石室は緑色片岩の割石で作られており、墓壙の彫り込みに当たる部分に板石を立て、その中に細長い石を縦または横に積み上げた後に、壁に沿って板石を貼り付けています。
石室の床には赤色粘土が貼られ、その中央に溝状のくぼみがあり、木棺を安置していたと考えられます。