サカタザメ科魚類の化石【表紙】
動物担当 佐藤陽一
上:サカタザメ科の1種 Rhinobatos sp.(レバノン産、白亜紀、徳島県立博物館蔵)
下:サカタザメ Rhinobatos schlegelii(伊豆半島産、神奈川県生命の星・地球博物館蔵)
中東のレバノンは良質の魚類化石を産出することで知られています。首都ベルイートの北西、レバノン山脈にあるハーケルやハジョーラなどの村には中生代白亜紀(はくあき)後期の浅海に溜まった地層が分布しています。ここからはサメや英の仲間の化石も多く産出しています。
白亜紀というのは恐竜(きょうりゅう)やアンモナイトが生息していた最後の時代です。魚類の祖先(そせん)はもっと古い古生代(こせいだい)に出現しており、白亜紀には現在みられる主要な魚類グループはすでに出現していました。
上の写真はレバノンの白亜紀のサカタザメ科の化石で、下の写真は現在、日本の沿岸でみられるサカタザメの写真です。両者の形がひじょうによく似ていることがおわかりいただけると思います。6500万年以上にわたり形をほとんど変化させなかったという意味では、「生きた化石」といってよいでしょう。
ところでサカタザメはサメという字が付いてますが、実際はエイの仲間です。サメとエイはどこが違うのかなど、本年4月からの企画展「サメの世界」でご紹介します。(P.5参照)。ぜひご覧ください。