遮光器土偶(青森県大畑町二枚橋(2)遺跡出土)【表紙】
考古担当 高島芳弘
いかり肩で、ひざを強く踏ん張っており、胴は細く乳房も小さく表現されています。顔は大きく、写実的な鼻と遮光器(しゃこうき)状の目が強調されています。頭のいただきと後ろに突起がつけられていますが、後ろの突起は髪を巻きつけてまとめているようにも見えます。体のところどころに赤色顔料が残っていますが、もとは全体に塗られていたようです。
土偶(どぐう)は、ほとんどのものが女性をかたどっていて、自然の恵みや子孫繁栄(しそんはんえい)などを祈願(きがん)したものと考えられています。この土偶は、青森県亀ヶ岡(かめがおか)遺跡や岩手県手代森(てしろもり)議遺跡から出土している王冠状の装飾を持つ典型的な遮光器土偶に比べると豊満さがなく、やや新しい時期のものです。
本資料は、平成17年春の企画展『縄文の美一亀ヶ岡文化の世界一』において、東北地方の縄支時代晩期に栄えた亀ヶ岡支化を紹介する資料のひとつとして展示するものです。企画展では土偶のほかにも亀ヶ岡文化のさまざまな遺物を展示する予定です。
また、亀ヶ岡文化と本県出身の歴史学者喜田貞吉(きださだきち)との縁についても紹介します。