是川中居(これかわなかい)遺跡出土漆塗(うるしぬ)り櫛(くし)(八戸市教育委員会蔵)【表紙】
考古担当 高島芳弘
漆工芸(うるしこうげい)は縄文時代晩期の亀ヶ岡(かめがおか)文化の中で大いに発達した技術のひとつです。発見されるおもな漆製品は漆塗り土器と有機質の遺物である弓、腕輪、櫛、耳飾りなどです。
櫛は木や竹を数本並べて歯とし、その一方を糸でかがった後、それを包み込むように漆などをはりつけて形を整え頭部とし、その上から赤漆を塗って仕上げたと考えられています。この櫛は頭部を丸くしているものと、突起を持つものがあり、頭部中央に透かしのあるものもあります。櫛は歯が折れてしまい、頭部だけが残っている場合が多く、歯までしっかりと残っている例はあまりありません。
企画展『縄文の美』では、櫛ばかりでなく、弓、腕輪、耳飾りなど縄文時代の有機質の漆製品や漆塗り土器もふんだんに紹介いたします。