手形付・足形付土製品【表紙】
(北海道恵庭市拍木川4遺跡)〔写真提供:(財)北海道埋蔵文化財センター〕
考古担当 高島芳弘
考古速報展が徳島で8年ぶりに開催され、全国の代表的な出土品が展示されます(P.5参照)。
この土製品は、縄文時代晩期(約2500年前)の土壙墓(どこうば)の副葬品(ふくそうひん)として発見されたもので、粘土を薄く板状に延ばし、手と足を包み込むように押しつけて型を取っています。現在でも赤ちゃんの手形や足形を紙にとることがあります。縄文人も同じように子どもの健やかな成長を願って、手形や足形を粘土にかたどったのだと思われます。手足とも6カ月~1歳の乳児のものです。
縄文時代の手形付・足形付土製品は、本州北部から北海道にかけて多く発見されています。つくりとしては、厚みのある平らな粘土板に手や足を押しつけただけのものが多く、文様(もんよう)で飾られた例はこれまではありませんでした。災害、病気などから子どもを守ろうとする縄文人の思いがよく伝わり、ひじようにおもしろい資料です。