キク(力一チス・ボタ二力ル・マガジンより)【表紙】
植物担当 小川誠
ウィリアム・力一チス(1746-1799)は、路地や温室で栽培されている美しい観賞用の外国の植物を色付きの図をつけて紹介する雑誌を、イギリスで1787年に創刊しました。これが有名な「力一チス・ボタニカル・マガジン」で、多くの人々がその美しい絵に魅了(みりょう)されたといわれています。
この雑誌は後にキュー植物園に引き継(つ)がれ、1万枚を超えた図が発行されましたが、 327図という早い時期に出版されたものに我々の見慣れた花が載(の)っています。日本人にはなじみ深いキクの花です。この図は1796年に出版されたものですが、その時期はキクがイギリスに持ち込まれた直後であったといいます。栽培法などとともに、この植物が良い香りを持っていることが紹介されています。そして、彼がオランダ商館医師として来日したツュンベリー(1743-1828)の「FloraJaponica (日本植物誌、1784年)」の記事を引用し、日本ではいろいろな色や形のキクが栽培されていると紹介しています。この記事を見た当時の外国の人たちは、 「香りの植物」が咲き乱れる日本をどのように思ったのでしょうか。
キク(力一チス・ボタ二力ル・マガジンより)