ツマベニチョウのなかま【表紙】
動物担当 山田量崇
ツマベニチョウの仲間(Hebomoia 属)は、モンシロチョウやモンキチョウと同じシロチョウ科に属す大型のチョウで、白や黄色、赤色を基調としたとても美しい羽をもっています。インドから東南アジアにかけて広く分布し、モルッカ諸島(インドネシア)に分布するヒイロツマベニチョウとその他の地域に広く分布するツマベニチョウの2種のみが知られています。日本には、ツマベニチョウが九州南部から八重山諸島まで見られます。東南アジアでは島ごとに羽の色彩や斑紋が違うことから、30以上もの亜種に分けられています(写真①~⑥)。一見すると別種と見間違うほどの色彩の違いがあります。♂と♀でも羽の色に違いが見られ、♀は後羽に黒色の斑紋が多いのに対して(写真②、⑥)、♂は後羽の黒斑が少なく、美しい鮮やかな色彩を呈します(写真①、③~⑤)。このように、チョウの仲間には同じ種でも地域や性別によって、羽の色彩が著しく異なる種がいることが知られています。