博物館ニューストップページ博物館ニュース075(2009年6月25日発行)文化の森でメリケントキンソウを発見!(075号速報)

文化の森で メリケントキンソウを発見!【速報】

植物担当 小川誠

メリケントキンソウ(Soliva sessilis)は、キク科の一年草です。もともとは南アメリカ原産の植物で、国内では和歌山県で1930年に帰化が確認された外来種です。アメリカからやってきたトキンソウという意味でその名がつけられました。茎の高さは10cm 以下の小さな植物で、芝生のなかにまぎれて生えていますので、見落とす可能性が高い植物です。そのメリケントキンソウが文化の森の噴水の芝生の植え込みの中に生えているのを、徳島市在住の谷覚さんが発見しました(図1、2)。2009年4月19日に開催されたタンポポ調査の説明会でのことです。筆者もこの植物の広がりには注意していたところでしたので、身近な場所にも入り込んでいるのを知って驚きました。

図 1 文化の森の花壇に生育するメリケントキンソウ

図 1 文化の森の花壇に生育するメリケントキンソウ

図2 芝生の中に紛れて生育するメリケントキンソウ

図2 芝生の中に紛れて生育するメリケントキンソウ

 

県内でこの植物が最初に発見されたのが2005年5月のことで、地元のテレビ局である四国放送から、視聴者から寄せられた謎の植物として博物館に鑑定を依頼されました。調べてみたところ、メリケントキンソウだとわかり、現地に行ってみたところ、徳島市や藍住町など吉野川下流部の河川敷の数カ所生育していることが確認できました。

この植物がやっかいなのがその果実で、カブトガニに似た形をしていて鋭い棘(とげ)があります(図3)。この棘は堅く、子供の皮膚だと簡単に突き破ってしまいます。筆者も、写真撮影のために地面に手をついたところ、果実がたくさん手のひらに突き刺さって、たいへん痛い思いをしました。
インターネットで調べてみると、アメリカやカナダではこの植物がはびこっていて、注意を喚起する文書が出ていることがわかりました。海岸や運動場などの人が活発に動く場所に生育しているため、人に危害が加わる可能性があるのですが、いったん入り込むとなかなか駆除することができないので外国では土を入れ替えて対処したという事例もあります。

図3 鋭い棘をもった果実

図3 鋭い棘をもった果実

先に見つかった吉野川の河川敷では、野球やサッカーなどをやっているグラウンドにすでに大量にはびこっています。年々範囲を広げているようで、洪水などで果実ごと流されるとさらに広がる可能性もあります。公園の管理は市町村で、河川全体は国であるなどと、管理が細かく分かれていますが、それを超えて広域的に対策をたてる必要があります。

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