えびす木偶人形と出土した中世の木偶頭
民俗担当 磯本宏紀
図1は、小松島市和田島のえびす舞でつかわれる三人づかいのえびす木偶(でこ)人形です。神の依代(よりしろ)とされるえびす人形が、豊漁祈願、安全祈願のため、地区内の神社、漁港、網元などをまわってえびす舞を奉納します。図2は、大阪市の茨田(まった)安田遺跡出土の中世の木偶頭です。高さ8.8cm 右耳と鼻が少し欠けているほかはほぼ完形です。首に深さ2.3cm の穴があけられています。ここに棒を差し込んで操っていたのでしょう。そうだとすれば、現在の人形頭と同じもち方をしていたことになります。
図1 小松島市和田島のえびす舞の木偶人形
企画展「人形・ひとがた-祈りから遊びまで-」では、土偶(どぐう)、人形(ひとがた)など信仰され、流され、 送られる「祈りの人形」から、装飾され、贈られる「遊びの人形」へと移り変わっていく過程をたどりながら、さまざまな人形を紹介します。