博物館ニューストップページ博物館ニュース087(2012年6月25日発行)Q.化石がとれる場所を教えてください。(087号QandA)

化石がとれる場所を教えてください。【レファレンスQandA】

地学担当 中尾賢一

徳島県内や近隣(きんりん)地域には化石の産地がたくさんありますが、どなたにでもお勧(すす)めできる場所はかなり限られます。また、化石かそうでないのかを見分けるには、ある程度の知識や経験が必要です。経験のない人が有名な化石産地にいきなり行っても、どれが化石かわからないこともあります。
県内で比較的条件がよいのは上勝町(かみかつちょう)の勝浦川(かつうらがわ)の河原です。ここには沖生代白亜紀前期(ちゅうせきだいはくあきぜんき)(約1.2億年)のトリゴニア類(二枚貝)などの化石を含んだ砂岩が礫(れき)として転がっています(図1)。しかしその数は少なく、石も硬(かた)いので、採集するのはあまり簡単ではありません。

図1上勝町正木ダム下流の勝浦川河原のトリゴニア類化石。右上は50円硬貨。2012年4月撮影

図1上勝町正木ダム下流の勝浦川河原のトリゴニア類化石。右上は50円硬貨。2012年4月撮影

高知県安田町唐浜(やすだちょうとうのはま)では、化石の種類や量、質を問題にしなければ、ほぼ確実に化石が採取できます。時代は新生代新第三紀鮮新世(しんせいだいしんだいさんきせんしんせい)~第四紀更新世(だいよんきこうしんせい)(約260万年前後)です。ここでは農道の建設工事が数年前まで断続的に行われ、貝などの化石が多数産出しました。2011年4月現在、工事で現れた地層の一部が観察や採集用に残されています(図3)。安田町は2012年度に、新たな化石採集場所を別の場所に整備するそうです。興味のある方は安田町教育委員会(電話0887‐38‐5711)に問い合わせてみてください。

図2高知県安田町唐浜周辺の地図。2012年4月現在、×で示した場所で化石の観察や採集が可能。国土地理院発行1/25000地形図「安芸」の一部を使用。

図2高知県安田町唐浜周辺の地図。2012年4月現在、×で示した場所で化石の観察や採集が可能。国土地理院発行1/25000地形図「安芸」の一部を使用。

化石採集をする上で注意点があります。まず化石採集は、他人の土地に入って地面や崖(がけ)を破壊(はかい)する行為なので、河原や広く認知されている場所以外では、土地の所有者や管理者に許可をもらってから行(おこな)ってください。帰るときには石のかけらを片付ける、必要以上に採集しない、などの心がけも必要です。採集場所は水辺、足場の悪い場所、ムシの多い場所であることも多いので、けがなどには十分気をつけてください。

図3地層の観察や化石採集のために残された場所(図2で×で示した地点)。2012年4月撮影。

図3地層の観察や化石採集のために残された場所(図2で×で示した地点)。2012年4月撮影。

なお、博物館では化石採集ができる野外観察会を行うことがあります。できればこのような会に参加して、化石の探し方や採取の方法を学ぶのがよいでしょう。

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