シロツブのなかまが発芽しました【情報ボックス】
植物担当 茨木靖
やったあ!浜辺で拾ったシロツブのなかまの種子が芽を出しました。シロツブは、徳島には生えない暖かい所の植物です。ジャケツイバラ科の樹木で、世界の熱帯~亜熱帯に広く分布します。潮の流れで種子を遠くに運ぶ“海流散布植物”なので、この種子も長い旅の末、四国の浜辺にたどり着いたのでしょう。
種子が芽を出すと、重要なことがわかります。浜辺に漂着した種子は、形や色などから、だいたいこの仲間かなというのはわかるのですが、本当に何という植物か調べるためには、花や葉の特徴を知る必要があります。実は、このシロツブにもハスノミ力ズラというよく似た近縁種があり、種子だけでは特定が難しいのです。まだ名前を決めることはできませんが、葉の付け根に托葉(たくよう)というものが無いことから、ハスノミ力ズラである可能性も出てきました。
さて、発芽の様子を見てみましょう。種子は2013年7月11日に、高知県の生見(いくみ)海岸で拾いました。ゆがみがあり、振ると音がします。これはハスノミ力ズラには無いシロツブの特徴とされます(図1の左)。7月27日に紙ヤスリで傷をつけ水を吸わせました。このなかまの種子は、表面が硬く、そのままでは芽が出ないものが多いのです。驚いたことに、水を吸うと外側の白い皮は“鉛筆の削りくす”のようになって、バラバラと落ちてしまいました(図1の右)。7月31日、芽よりも先に根が伸び出しました。8月7日、ついに芽が出ました。2014年2月現在、暖かい室内で元気に成長中です(図2)。
図1 左:漂着したシロツブのなかまの種子。 右:水を吸った様子
図2 すくすくと育つ苗
シロツブのなかまは、世界に100種以上があります。海流散布するものは、それほど多くありませんが、この植物がシロツブでも八スノミ力ズラでもない、もっと別の植物である可能性もあります。それだけに、種子を播(ま)き育てる面白さも大きいのです。皆さんも海岸で種子を拾ったら、ぜひ植えてみてください。