Q.海岸で土器が拾えるってほんとですか?【レファレンスQandA】
植物担当 茨木靖
考古担当 岡本治代
浜辺を歩いて漂着物を探し集めることを、ビーチコーミングと言います。ビーチコーミングをしていると、意外なものを拾うことが時々ありますが、徳島の海岸では、なんと古い時代の土器片や陶磁器片などが拾えることがあります。中には、とても大きくて、もともとの形がよくわかるものもあります(図1)。
図 1 徳島市小松海岸漂着の弥生中期末の長頸壺(田上浩久氏採集)
徳島県で土器片などが拾える場所は、いくつかあります。有名なところでは徳島市の小松海岸や阿南市の北の脇海岸などが挙あ げられますが、特に北の脇海岸では、西崎聖二郎(にしざきせいじろう)さんが、とても詳しく調査を行っています。それによると、この海岸では、土器片(縄文(じょうもん)土器や弥生(やよい)土器、土師(はじ)器の可能性があります)、須恵(すえ)器片、瓦器(がき)片、陶器(とうき)片、そして磁器片などが拾えるそうです(図2)。その時代も古いものから、ごく最近のものまで、いろいろなものが流れ着くとされています。そんな身近なところに、何千年も前の人が作ったものが落ちているなんて、とても不思議な感じがしますよね。
図 2 阿南市北の脇海岸漂着の土器片など(西崎聖二郎氏採集・撮影)
でも、いったいどうして浜辺に土器片などがあるのでしょうか?これについては、①海岸の堤防工事のために、よそから運ばれてきた土砂に混ざっていた。②海岸で使われて捨てられた。③海岸の近くを流れる川の上流の遺跡から、川の流れや津波の影響で運ばれてきたなど、様々な理由が考えられています。
また、土器片が拾えるのは、じつは海岸ばかりではありません。安藤拓馬(あんどうたくま)さんによると、吉野川の川岸でも土器片や陶器片が拾えるのだそうです(図3)。思わぬところでみつかるものですね。皆さんも海や川に落ちている土器片や陶磁器片に注目してみて下さい。
図 3 吉野川河口漂着の土器・陶磁器片(安藤拓馬氏採集・撮影)
もっと詳しく知りたい人は、
西崎聖二郎・高島芳弘.2014.徳島県阿南市北の脇海岸に漂着した土器片・陶器片について.徳島県立博物館研究報告(24):35-44.
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