徳島恐竜コレクション【特集】

地学担当 辻野泰之

近年、徳島県勝浦(かつうら)町の白亜紀(はくあき)前期(約1億3000万年前)の地層から、恐竜の化石が続々と発見されています。また、恐竜化石の他にも、カメやワニなどの脊椎動物(せきついどうぶつ)の化石も発掘現場から見つかっています。新常設展では、新しく「徳島恐竜コレクション」という展示コーナーを設け、発掘調査で発見された化石を一同に展示します。
勝浦町の発掘現場から発見された恐竜化石は、歯や骨の一部ということもあり、どのような種類の恐竜が、当時いたのかを想像しづらいと思います。そのため、新常設展では、徳島県の恐竜を分かりやすく伝えるため、生体復元模型や海外産の白亜紀前期の恐竜化石の全身骨格(複製)も展示します。

以下では、「徳島恐竜コレクション」で展示する資料のいくつかを紹介したいと思います。

徳島県の恐竜の生体復元模型

勝浦町からは、少なくとも3種類(鳥脚類(ちょうきゃくるい)イグアノドン類、竜脚類(りゅうきゃくるい)ティタノサウルス形類(けいるい)、獣脚類(じゅうきゃくるい))の恐竜の歯の化石が発見されています(図1ー3)。海外で見つかっている白亜紀前期の恐竜化石などを参考にして、プロの造形作家に生体復元模型を作製してもらいました。

図1 勝浦町産の鳥脚類イグアノドン類の歯化石と生体復元模型

図1 勝浦町産の鳥脚類イグアノドン類の歯化石と生体復元模型

図2 勝浦町産の竜脚類ティタノサウルス形類の歯化石と生体復元模型

図2 勝浦町産の竜脚類ティタノサウルス形類の歯化石と生体復元模型

 

図3 勝浦町産の獣脚類の歯化石と生体復元模型

図3 勝浦町産の獣脚類の歯化石と生体復元模型

 

マラウィサウルス(全身骨格)(複製)(図4)

白亜紀前期にアフリカに生息していた竜脚類ティタノサウルス形類の一種です。全長10mほどと、竜脚類としては、比較的小さな種類です。勝浦町で発見されている竜脚類も、マラウィサウルスと同じティタノサウルス形類に含まれます。

図4 マラウィサウルスの全身骨格(複製)

図4 マラウィサウルスの全身骨格(複製)

プロバクトロサウルス(全身骨格)(複製)(図5)

中国の内モンゴルから発見された白亜紀前期の植物食恐竜の一種です。歯の構造からイグアノドン類とその進化型であるハドロサウルス類の中間に位置すると考えられています。勝浦町から発見されたイグアノドン類の歯の持ち主もこのような姿をしていたと思われます。

図5プロバクトロサウルスの全身骨格(複製)

図5プロバクトロサウルスの全身骨格(複製)

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