博物館ニューストップページ博物館ニュース008(1992年10月9日発行)金子コレクション(日本産海産貝類)(008号収蔵品紹介)

金子コレクション(日本産海産貝類)【収蔵品紹介】

著者名 田辺力

徳島県立博物館では、堺市の貝類研究家、金子壽衛男(かねこすえお)さんの貝類コレクションの一部を、金子コレクションとして保管しています。金子コレクションは日本産海産貝類の総種数、約5400種の約四分のーにあたる1500種を含んでいます。今回は金子コレクションの特徴と、そのうちの3種の貝について紹介します。

金子コレクションの特徴は、第一に幅広いクループにわたる資料を含んでいることです。そのため、いろいろな貝のグループの研究に際して、参照資料として用いることができます。第二に、殻の大きさが、数ミリメートルの微小な種類を多く含むことです。小型の貝は採集や、名前を調べることなどがめんどうなせいもあって、なかなか入手できません。第三には、標本の状態がいいこと、およびデータが正確なことです。貝殻の表面は傷つきやすいのですが、良好に保存されています。紛失しやすい貝殻の蓋もきちんと残されています。これらのことは学術標本の価値として大切なことです。
次に、金子コレクションのなかの3種について簡単に紹介します。

マルカメガイ(図1)

-小さな貝で殻の大きさは約5ミリメートルです。形からはわかりにくいですが、巻貝です。名前のとおり力メのような格好で、透明でまるい殻lこ大きなロが開いています。波にゆられて漂う浮遊生活をします。

図1 マルカメガイ

図1 マルカメガイ

べニオキナ工ビスガイ(図2)

-原始的な特徴をたくさん持つ巻貝です。写真の標本は殻の高さ約15センチメートルで、水深約100メートルの海底から採集されました。

図2 べニオキナ工ビスガイ

図2 べニオキナ工ビスガイ

オトヒメスズメガイ(図3)

-小さくて5ミリメートル位しかありません。二枚貝のように見えますが巻貝です。貝の死殻にくっついて生活します。
最後になりましだが、金子コレクションが、幅広く貝の研究に活用されることを願っています。

図3 オトヒメスズメガイ

図3 オトヒメスズメガイ

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