博物館ニューストップページ博物館ニュース008(1992年10月9日発行)Q.時代劇にときどき「印籠(・・・(008号QandA)

Q.時代劇にときどき「印籠(いんろう)」が登場しますが、印籠について教えて下さい。【QandA】

美術工芸担当 大橋俊雄

A.印籠は、文字どおりに読めば印鑑を入れる箱です。印籠という名前は南北朝時代から現れますが、最初は印を入れて棚にかざる重箱でした。
しかし江戸時代の印籠は、紐を通して腰にぶら下げる小さな薬の容器です。名前は同じでもまったく違ったものであり、この変化がどのように起こったのかはっきり判っていません。薬を入れるほうの印籠は、江戸時代の半ば以後、男性の小粋(こいき)なアクセサリーとして大流行しました。
最近、この印籠が見直されています。印籠の表面には、色々な技法を使って様々なデザインが施されていますが、これが江戸時代の工芸を知るうえで重要な資料となるからです。まずデザインが面白く、しばしば人の意表をつくものが題材に選ばれます。そしてデザインを表すのに、金や銀、漆(うるし)、貝、牙、陶器、珊瑚(さんご)などの材料が効果的に使われます。印籠は、小さいながらも当時の工芸技術の集大成なのです。
 

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