X線撮影室【探険!! 博物館】

著者名 魚島純一

博物館には2種類のX線透過撮影装置があります(図1)。

図1 X線透過撮影装置

図1 X線透過撮影装置

X線とはいわゆるレントゲンのことです。みなさんも、ケガや病気をした時、あるいは健康診断の時に、一度くらいはレントゲン写真を撮ったことがあることでしょう。レントゲン写真(X線透過写真)はX線が持つ物体を通り抜ける力を利用して、内部のようすを観察することなどに利用されています。よく知られている医療分野のほか、空港での手荷物検査やできあがった工業製品に亀裂がないかどうかを調べたりするのにも使われているのです。

「どうして博物館にそんなものがあるの?」と思うかも知れませんね。博物館にある多くの資料のなかには、外から見だだけでは内部がどうなっているかわからないものがたくさんあります。そんな時、このX線写真を使って内部の構造や壊れぐあいなどを見るのです。例えば文化財。X線写真で見ると、肉眼の観察にくらべて何倍もの量の情報を得ることができます。


図2は徳島市の節句山(せっくやま)2号墳(ごうふん)から出土した青銅製の鏡を通常の力メラで撮影したもの、図3はX線撮影装置を使って撮影したものです。通常の写真では表面をおおっているサビがじゃまで文様や銘文の一部が見えませんが、X線透過写真では表面のサビなどの影響をほとんど受けずに、文様の細かいところまできれいに観察することができます。また、表面からはわからない細かいひびが入っていることもわかります。

図2 節句山2号墳出土四獣鏡

図2 節句山2号墳出土四獣鏡

図3 節句山2号墳出土四獣鏡 のX線透過写真

図3 節句山2号墳出土四獣鏡 のX線透過写真

博物館では、通常の観察による調査研究の他にも、このような装置を使って文化財などの調査研究をおこなっています。

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