菖蒲秋草松桜文様振袖 1領 江戸時代(18世紀) 奈良県立美術館蔵【表紙】

美術工芸担当 大橋俊雄
紗綾(さや)とよばれる記事を濃いめの納戸(なんど)色に染め、腰より下は三角形に区切って色がわりとし、四季の草木を白上(しろあ)げや各種の染め色であらわしている。青色の地に菖蒲(しょうぶ)をはいして、さわやかな初夏の水辺を暗示させ、さらに春の桜、秋の草花、冬にもミドリをたもつ松を取り合わせて、終わりのない四季のめぐりをことほいでいる。きっぱりとした構成のなかに、自然の情感を豊かに盛り込んだ、魅力あふれる意匠といえよう。

-企画展「藍のよそおい」より

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