平鉋【表紙】
民俗担当 庄武憲子
平鉋(ひらやりがんな)
平鉋(ひらやりがんな)裏
平鉋(ひらがんな)は、板類や角材などの表面を平滑(へいかつ)に削(けず)るための道具です。対象に合わせて大小の平鉋が使い分けられます。
写真の平鉋は徳島市北沖洲(とくしましきたのきのす)で仕事をしていた木工職人、故大寺喜好氏が使用していたもののひとつです。刃の幅は6.4cmで、台の長さは、27.5cmです。写真左の台の上部に「1949.12.31」という印字と、「K Otera」と彫られた文字が見えます。木工職人として多岐(たき)にわたり、優れた腕を発揮した大寺氏は、多数の道具を所蔵していました。大小必要とはいえ、平鉋だけでも写真のものを含め、約30点が仕事場に置かれていました。また、右の写真を見ると、台に割目が入ってきたのを補修した痕跡(こんせき)が見られます。一つの道具にこだわり、大切に用い続ける職人の姿をうかがうことができます。
この平鉋をはじめ、大寺氏の所蔵していた道具は、特別陳列「トクシマ・木工芸の道具と技」で紹介します。