Q.重さをはかるために使った昔の道具を教えてください。【レファレンスQandA】
民俗担当 磯本宏紀
重さを量(はか)る昔の道具を2つ紹介しましょう。1つ目は、天秤秤(てんびんばかり)(図1)、2つ目が棹秤(さおばかり)(図2)です。理科の授業で習った梃子(てこ)や天秤の仕組みを思い出してください。どちらも、支点を中心にして両端(りょうはし)にはたらく力(重さ)が同じなら、つり合って竿(さお)が水平になるという仕組みを利用した秤です。
図1 天秤秤(てんびんばかり)
図2 棹秤(さおばかり)
天秤秤は、中央を支点として竿の両端に皿(さら)をつるし、それぞれに量りたいものとおもりをのせます。つり合って竿が水平になったら、のせたおもりの重さがものの重さだとわかります。
棹秤は、取っ手(ひも)を支点にし、片側にある皿に量りたいものをのせたり、かぎにひっかけたりし、もう片側にはおもりをつるして量ります(図2は、かぎにひっかけるタイプです)。このとき、棹(さお)が水平になる位置までおもりを移動させ、支点からおもりまでの距離(きょり)が、支点から量るものまでの距離の何倍なのかを目盛(めもり)を使って読むことで重さがわかるという仕組みです。支点から量りたいものとの距離は動きませんので、おもりを遠くに動かしていけばいくほど、重たいものを量ることができることになります。棹が水平になった位置で支点からの距離を目盛りで読み(図3)、〔おもりの重さ〕×〔支点からおもりまでの距離÷支点から量りたいものまでの距離〕で重さが量れます。
図3 棹秤の目盛り
天秤秤は、両替商(りょうがえしょう)や商家(しょうか)などでしばしば用いられました。そこでは、秤は固定され、いくつもの分銅(ふんどう)が使われました。
一方の棹秤は、魚売り、野菜売りなど商売の人から、米など農作物の重さを量るのにもよく使われました。携帯用(けいたいよう)の小型のものから、米俵(こめだわら)など重いものを量ることができる太く長い棹秤まで、いろいろな種類が用途に合わせて使われていました。