電子顕微鏡室【探険!! 博物館】

中尾賢一

人間の肉眼では0.1mmほどの大きさまでしか識別できません。ルーペや虫メガネを使えばもう少しよく見えるようになりますが(数倍から20倍)、肉眼でみた場合とそんなに違ってみえるわけではありません。これ以上の細かい観察には、ふつうは太陽光や電球の光を使った光学顕微鏡が使われます。それには大きく透過光でみるタイプと、反射光でみるタイプがあります。学校によくある、プレパラートを使って観察する顕微鏡は透過光の方のタイプになります。光学顕微鏡で観察できるのは500倍から1000倍くらいまでで、さらに高倍率の観察には電子顕微鏡が必要です。
電子顕微鏡は光のかわりに電子線を使う顕微鏡で、かなりな高倍率が得られます。博物館には走査型というタイプの電子顕微鏡があり、35倍から20万倍までの範囲で観察・写真撮影ができます。これは観察物の表面の凸凹をみるための顕微鏡で、光学顕微鏡でいえば反射光を使うタイプに相当します。生物の組織の構造、微小な化石や鉱物などの観察・写夏撮影に使われています。
図2は走査型電子顕微鏡で撮影したハ工の卵です。このように一見ツルツルであるような卵の表面でも複雑な構造があり、自然の造形のおもしろさをかいま見ることができます。

図1 電子顕微鏡を使っての実習

図1 電子顕微鏡を使っての実習

 

図2ハエ(ハナアブ)のなかまの卵の電子顕微鏡写真。卵の大きさは約1.5mm。A;卵の全体。B;卵の表面の拡大。

図2ハエ(ハナアブ)のなかまの卵の電子顕微鏡写真。卵の大きさは約1.5mm。A;卵の全体。B;卵の表面の拡大。

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