企画展ミネラルズ

岩石をつくる鉱物

◆ 長石Feldspar

図2-6
正長石または微斜長石
【山梨県甲府市 長さ 22cm】

箱形 (はこがた) をした鉱物で、ガラス光沢を示します。多くは白色をしていますが、不純物や風化の程度により緑や赤などの色をもつこともあります。石英と比べると透明感があまりあまりなく、特定の方向に割れやすい性質(劈開 [へきかい] )があります。

長石 (ちょうせき) とは大きなグループ名で、化学成分の違いによってカリ長石と斜長石 (しゃちょうせき) の 2 つのグループに分けられます。グループ全体で見ると、産出頻度は鉱物の中で最も高く、石灰岩などを除くほとんどの岩石に含まれていて、地殻 (ちかく) 表層部では約 60%を占めるといわれています。

カリ長石には、正長石 (せいちょうせき) 微斜長石 (びしゃちょうせき) などがあります。多くの場合双晶 (そうしょう) していて、箱型〜四角柱状の形をとります。博物館などでよく展示してある大型の微斜長石 (びしゃちょうせき) 正長石 (せいちょうせき) (図2-6)は、たいていペグマタイトでできたものです。鉛を含んで青〜緑色に色づいた微斜長石(図2-7)はアマゾナイトとよばれて、飾り石などに利用されています。ビルの外壁などによく使われている赤色花崗岩 [かこうがん] (赤御影 [あかみかげ] )(図2-8)の赤い色は、カリ長石中の鉄分が () びることによってできた色です。

斜長石には、化学組成の違いによって、曹長石 (そうちょうせき) 灰長石 (かいちょうせき) 、およびこれらの中間的なものがあります。ほとんどすべての火成岩に含まれるほか、大部分の変成岩 (へんせいがん) や多くの堆積岩 (たいせきがん) にも入っています。

長石の中には、独特な輝きをもつものがいくつかあり、宝石や装飾用石材として使われています。ラルビカイト(図2-12)は閃光を放つ長石(月長石 [げっちょうせき] )を含んだ装飾用石材で、世界中で使われています。また、ラブラドル長石は青白い光を放ちます(図2-13)

図2-7
アマゾナイト
【アメリカ、コロラド州 結晶の長さ 30cm】
図2-8
赤色花崗岩(赤御影)
【インド 石材名:ニューインペリアルレッド 左右 6cm】
図2-9
氷長石【スイス 左右6cm】
低温で形成されるカリ長石。
図2-10
曹長石【岐阜県中津川市 左右15.2cm】
ペグマタイトに生じたもの。
図2-11
灰長石
【東京都三宅島 結晶の幅2.1cm】
他の物質が覆っているせいで表面は黒いが、内部は透明感のある白色。
図2-12
ラルビカイト
【ノルウェー南部ラルビック地方 石材名:ブルーパール 左右10.8cm】
図2-13
ラブラドル長石
【カナダ、ラブラドル地方 画面の左右9.8cm】
光の角度によって、青い光を放つ。
図2-14
月長石(アノーソクレース)
【メキシコ 画面の左右7cm 】
一定の方向から見ると、月光を思わせるような光を放つ。