岩石をつくる鉱物
ふつうの岩石を構成している鉱物は、造岩鉱物とよばれています。とくに火成岩の造岩鉱物である石英、長石、雲母、角閃石、輝石、かんらん石は造岩鉱物の代表として教科書などでよくとりあげられます。
ここでは、これらの造岩鉱物の各グループについて、やや特殊な例もとりあげながら見ていきます。
◆ 石英Quartz
石英は、地表で最も多い鉱物である酸素 (45.2%)と2番目に多い珪素(27.2%)からなり(化学式SiO2)、おそらく単一の鉱物しては地表で最多です。火成岩(図1-1)や堆積岩、変成岩の中にも普通に含まれるほか、場所により割合はさまざまですが、砂浜の砂粒の多くも石英でできています。地表では化学的に安定で摩耗にも強いので、風化に耐える性質を持っています。
水晶というのは、六角柱状に結晶した石英のことです。小さい水晶ならば珍しくありませんが、大型で透明度が高い水晶がたくさん採掘できる場所はあまり多くありません。国内に入ってきている水晶のほとんどは外国産で、国内には現在、商業的に水晶を採掘しているところはありません。
石英は本来は無色透明(図2-1)ですが、不純物の混入や放射線の影響などにより、さまざまな色がつきます。色つきの水晶としては、灰色を帯びた煙水晶(図2-2)や紫水晶(図2-3)が有名です。ともに、微量の不純物と放射線を浴びたことによる結晶構造の乱れにより着色すると説明されており、人工品もつくられています。最も目にする機会が多い紫水晶は玄武岩の晶洞の中に群生したブラジル産のもので、土産物店などでよく売られています。その他、ルチルの針状結晶を含んだ水晶(針入り水晶)(図2-4)、緑泥石を含んでやや緑色を帯びたものや、赤鉄鉱を含んでやや赤くなったものなどもあります。