企画展ミネラルズ

鉱物のものさまざまな性質

◆ ダイアモンドDiamond

図3-11
キンバライト中のダイアモンド
【ロシア 画面の縦 1.2cm】
正八面体結晶の三角形の面がわかる。
図3-12
キンバライト中のダイアモンド
【南アフリカ、キンバリー鉱山 長径 8.5mm】
三角形の板状結晶。2つの八面体結晶が双晶したもの。一般にはスピネル双晶というが、ダイアモンドの場合はマクルとよばれている。

宝石としてすべての方が名前をご存じでしょう。ダイアモンドは地球上で最も (かたい) 物質です。炭素というごくありふれた元素だけでできていますが、生成にはかなりの高圧が必要で、大陸下の上部マントルのうち地下 140k m より深い場所で形成されたと考えられます。肉眼 (にくがん) 的な大きさのダイアモンド結晶は、大陸に分布するキンバライトやランプロアイトといった超苦鉄質 (ちょうくてつしつ) の火山岩から発見されます。これらの火山岩のマグマはさらに深い地下 200 〜 300km 付近で形成され、それが一気に地表に噴出する途中でダイアモンドを拾ってくるのだと考えられています。

初めてキンバライト中にダイアモンドが発見されたのは 1869 年のことで、それ以前は川の中や、川で堆積してできた礫岩 (れきがん) の中からダイアモンドが採掘されていました。日本からはこれまでダイアモンドは全く発見されていません。

図3-13
立方体状のダイアモンド
【コンゴ 1辺約 0.5cm】
コンゴキューブとよばれるもの。宝石用としてはあまり質が良くないので、おもに工業用に利用される。
図3-14
礫岩中のダイアモンド
【ブラジル 径約 0.4cm】
礫岩の中に、礫として取りこまれたダイアモンドの結晶。画面の中央に三角形の面が見える。