企画展ミネラルズ

鉱物のものさまざまな性質

◆ 蛍石Fluorite

図3-15
蛍石
【大分県豊後大野市豊栄鉱山 横12.2cm】
無色透明の結晶。

蛍石 (ほたるいし) はフッ素とカルシウムの化合物(CaF2)で、純粋なものは透明ですが、黄色や緑色、紫色などさまざまな色をしたものもあります。溶鉱炉 (ようこうろ) の溶剤などに使われるほか、美しい縞模様 (しまもよう) をしたものは工芸品にも加工することがあります。また、人工的に再結晶 (さいけっしょう) させて純粋な結晶をつくり、高級光学レンズや赤外線 (せきがいせん) 用レンズに使うこともあります。

鉱物の中には、特定の方向に平面的にきれいに割れる性質を持ったものがあります。このような性質を劈開 (へきかい) といい、蛍石にも顕著 (けんちょ) にみられます。

図3-15は透明の大型標本です。大きく4つの方向(正8面体の方向)に規則的にひび(割れ目)が入っているのがわかります。

図3-16はきれいな8面体の結晶のように見えますが、じつは立方体の大型結晶を、人の手(専門の職人さんがいたそうです)で割って、形を整えたものです。劈開の性質をうまく利用した細工ですが、かなり習熟していないとここまできれいに作ることはできないでしょう。

図3-16
蛍石の劈開片
【アメリカ、イリノイ州 長径1.5〜2cm】