企画展ミネラルズ

鉱物のものさまざまな性質

◆ 磁鉄鉱Magnetite

図3-21
結晶片岩中の磁鉄鉱結晶
【長崎県 高さ10cm】

磁鉄鉱 (じてっこう) は酸化鉄の一つで、赤鉄鉱 (せきてっこう) とならんで重要な鉄の鉱石です。塊状 (かいじょう) のことも多いのですが、正8面体の結晶もよくあります(図3-21,3-22)。

この鉱物の大きな特徴は、強い磁性 (じせい) を持つことです。近くに磁石を持っていくと、磁鉄鉱が鉄製品のように引きつけられます。海岸や砂場などに磁石を持っていって、しばらく地面の上で転がすと、やがて磁石に砂鉄がくっついてきます。この砂鉄の正体が磁鉄鉱で、まわりにある岩石や、川の上流の風化した岩石から分離したものです。ルーペ(虫めがね)などを使わないとわからないかもしれませんが、正8面体やそれに近い形をしています。

逆に、落雷 (らくらい) など何らかの理由で磁石 (じしゃく) としての性質を持つようになった磁鉄鉱もあります。これが天然磁石で、鉄製のクリップなどは簡単に引きつけてしまいます(図3-23)

図3-22
分離した磁鉄鉱結晶
【ブラジル 結晶の径約1cm】
正8面体およびそれに近い形をしている。
図3-23
天然磁石
【アメリカ、ユタ州 左右9cm】