企画展ミネラルズ

鉱物のものさまざまな性質

◆ 胆礬Chalcanthite

簡単に水に溶ける性質をもつ鉱物がいくつかあります。ここではその代表として胆礬 (たんばん) を紹介しましょう。

胆礬は鮮やかな青色の鉱物で、その成分は硫酸銅 (りゅうさんどう) 5水和物(CuSO4・5H2O)です。中学校や高校の理科(化学)の教科書に結晶の写真が掲載されたり、水溶液や結晶の成長実験の材料として取り上げられる物質で、あまり濃くない、きれいな青色をしています。実験で比較的大きな結晶を簡単に作ることができるので、ご存じの方も多いでしょう。

胆礬は、銅鉱山の坑道 (こうどう) の内壁などに、地下水に溶けた硫酸銅の成分が鍾乳石 (しょうにゅうせき) のように沈着してできる鉱物です。もろく、しかも簡単に水に溶ける性質があるので、宝石として使用することはできません。また、毒性があるので、取り扱いには注意が必要です。日本でも銅鉱山の坑道の中で産出したことがあります(図3-20)

水に溶ける鉱物としては、他には岩塩 [がんえん] (天然の食塩)などがあります。なお胆礬に限らず、鉱物の中には有毒のものが多くあります。市販の調理用岩塩は別として、鉱物をむやみに口の中に入れることはお勧めできません。

図3-20
胆礬
【和歌山県那智勝浦町妙法鉱山 画面の左右1.8cm】