企画展ミネラルズ

四国の鉱物

四国は、時代やでき方のことなる地質体が東西に帯状に寄せ集められてできていて、産出する鉱物も地質体によって異なっています。また、同じ地質体でも、それぞれの地域や場所で微妙に異なる特徴を持っています。

◆ 輝安鉱Stibnite

輝安鉱 (きあんこう) はアンチモンと硫黄 (いおう) からできている鉱物で、アンチモンの鉱石として採掘されています。県内では、牟岐町と那賀町西納に輝安鉱を採掘した鉱山がありました(図6-1)。アンチモンは金属元素で、自動車用バッテリーや合金添加物として用途があります。

愛媛県西条市にあった市ノ川鉱山産の輝安鉱(図6-2)は、結晶の大きさとみごとさで、日本を代表する鉱物としてよく取り上げられます。ふつうの輝安鉱の結晶は長さ1〜2cmほどで針状ですが、市ノ川鉱山からは明治時代に20〜30cm(最長で1m近く)にもなる結晶が大量に産出しました。これらの結晶は、三波川帯の結晶片岩と第三紀の礫岩を貫く割れ目の中に、石英とともに含まれていたものです。

このとき採掘された結晶は、世界中の博物館や大学に収蔵・展示されています。一流品のほとんどは海外に流出していて、国内には良品が少ないとまでいわれています。

図6-1
輝安鉱
【那賀町西納相生鉱山 左右 13cm】
図6-2
輝安鉱
【愛媛県西条市市ノ川鉱山 全体の長さ 31cm】