企画展ミネラルズ

四国の鉱物

◆ ざくろ石Garnet

図6-7
アルマンディン(鉄礬ざくろ石)
【愛媛県四国中央市土居町関川河原 大きい方の長径 1.8cm】
図6-8
スペサルティン(満礬ざくろ石)
【徳島市眉山 大きい方の長径 3mm】

四国にもざくろ石の産地はたくさんあります。ここでは、愛媛県四国中央市土居町関川の河原で採集できるアルマンディン(鉄礬 [てつばん] ざくろ石)と徳島市眉山 (びざん) のスペサルティン(満礬 [まんばん] ざくろ石)を紹介しましょう。ともに変成岩に伴うざくろ石です。

関川の河原は、さまざまな種類の鉱物を手軽に拾える場所です。その中で特に目立つのが、角閃片岩の中に含まれる赤いアルマンディンです。多くは角閃片岩の表面に径1mmから2cmほどの多角形の断面として見えていますが、適度に風化した角閃片岩を割れば、斜方12面体(菱形が12個集まってできる立体)の結晶を単独で取り出すことができます(図6-7)。数は多くないものの、アルマンディン以外のざくろ石も2種類あります。それはパイロープ(苦礬 [くばん] ざくろ石)とウバロバイト(灰 [かい] クロムざくろ石)で、パイロープはエクロジャイトという珍しい変成岩中に、ウバロバイトはかんらん岩中に含まれています。

眉山のスペサルティンは、雲母を多く含んだ石英片岩の中に入っています。硬くて風化に強いので、眉山中腹の山道の地面をじっくり探すと、母岩から分離した結晶を拾うことができます(図6-8)。光沢が強く、黒っぽい色をした斜方12面体の結晶です。あまり大きなものはなく、大半は直径5mm以下です。