岩石をつくる鉱物
◆ 角閃石Amphibole
図2-20
普通角閃石安山岩
【大分県別府市高崎山 左右 16cm】
黒っぽく細長い結晶(斑晶)が普通角閃石。
図2-21
普通角閃石
【熊本県西原村護王峠 最大結晶の長さ 3.1cm】
安山岩から分離した大型の普通角閃石。
図2-22
アクチノ閃石
【愛媛県四国中央市関川河床(転石) 左右 7.5cm】
緑色のアクチノ閃石の柱状〜針状結晶。
角閃石も、火成岩や変成岩にひろく見られる鉱物グループです。
普通角閃石は、火山岩の斑晶としてよく見られる、かなり複雑な化学組成の鉱物です(図2-20)。黒っぽい色で、多くは長柱状の形をしています(図2-21)。一見、普通輝石(図2-17)によく似ていますが、より細長い場合が多いこと、柱に平行にできる2方向の割れ目(劈開)が、普通輝石では直角に近い角度で交わるのに対し、普通角閃石では 60° で交わることで、肉眼的にも区別できます。
アクチノ閃石(緑閃石、透緑閃石)は緑色片岩(阿波の青石)の中によく含まれている角閃石で、緑色の発色の原因になっている鉱物のひとつです。ふつうの緑色片岩中の結晶は顕微鏡的なサイズですが、滑石と共産したものは長さ数 cm の大型結晶になることがあります(図2-22)。一方、微小な結晶の緻密な集合体は、全体的に深緑でねっとりとした光沢を帯びます。これが中国で彫刻などの材料としてよく使われている軟玉です。