岩石をつくる鉱物
◆ 黒雲母Biotite
◆ 白雲母Muscovite
図2-23
黒雲母【カナダ 左右17cm】
黒雲母の巨大な結晶。
雲母のなかまを代表する黒雲母と白雲母は、ともに6角形の板状に結晶し、たいへん薄くはがれやすい性質(劈開)をもっています。
黒雲母は黒褐色で、花崗岩などの中にふつうに見られます。白雲母は透明〜白色で、一部の花崗岩やぺグマタイトに入っていることがあります。また、泥質な結晶片岩や片麻岩には、絹雲母という細粒の白雲母が多量に含まれています。天然の新鮮な黒雲母にはあまり用途はありませんが、風化して蛭石(バーミキュライト)という別種類の鉱物に変質したものは、熱を加え膨張させて防音材・断熱材・園芸材料として使用されています(図4-18,4-19)。
図2-24
白雲母【ブラジル 左右23cm】
巨大な白雲母の結晶集合体。ぺグマタイトから産出したもの。緑泥石が表面を薄く覆っているため、やや緑色を帯びている。
いっぽう、白雲母は大型の結晶が得やすく、透明で熱や電気を伝えにくい性質があります。そこで
大型の結晶は電気アイロンの絶縁体や石油ストーブの窓などに、細粒の結晶は化粧品などの材料に使われています。やや特殊ですが、浮世絵で使われる「雲母刷り」という技法では、絵具の上から白雲母の粉 (雲母粉)を塗ります。東洲斎写楽(役者絵で有名な浮世絵師)の代表的な作品の背景には、この技法が効果的に用いられています。白雲母の透明感と劈開と光沢を活かした用途です。