企画展ミネラルズ

生物・化石と鉱物

◆ 珪化木Silicified wood

図5-8
珪化木
【石川県小松市尾小屋鉱山 長さ 28cm】
図5-9
珪化木
【アメリカ、アリゾナ州 中生代三畳紀 直径 75cm】
ナンヨウスギ科アラウカリオキシロン属の幹の断面。研磨してある。

樹木の細胞内や細胞壁に珪酸 (けいさん) 分がしみこみ、オパールや玉髄 (ぎょくずい) などの珪酸分に置き換えられて化石として残ることがあります。このような植物化石を珪化木 (けいかぼく) とよんでいます。植物化石としては特に珍しいタイプではなく、多産することもよくあります。保存状態がよい珪化木では、内部の年輪や細胞などを見ることができます。内部構造が残されていることにより、同じ珪酸質からなる化石でも、オーストラリアのオパール化した貝化石とはでき方が全く違うことがわかります。

珪化木はしばしば石炭といっしょに産出し、部分的に石炭と珪化木が入り交じっているものもあります。一般的な珪化木には商業的な価値はほとんどなく、むしろ石炭採掘のじゃまになる存在です。北海道や北九州に多数あった炭坑の近くには、他の質の良くない石炭や岩石片といっしょにたくさんの珪化木がボタ山として積み上げられていました。

珪化木は現在でも形成されています。富山県立山温泉で行われた実験の結果からは、条件が整っていれば、数年から数10年ほどのごく短い期間で形成される可能性があると指摘されています。