企画展ミネラルズ

生物・化石と鉱物

◆ 黄鉄鉱化した化石Pyrited fossils

図5-10
黄鉄鉱化したアンモナイト(コスモセラス)
【ロシア 中生代ジュラ紀 長径 7cm】
黄鉄鉱化した化石の断面。
図5-11
黄鉄鉱化した腕足類(パラスピリファー)
【アメリカ、オハイオ州 古生代デボン紀 各個体の長さ 5.5cm】

硫化鉄 (りゅうかてつ) の鉱物である黄鉄鉱 (おうてっこう) (FeS2)はありふれた鉱物で、堆積岩の中からもよく産出します(図3-7)。また化石の中には、石灰質の殻が黄鉄鉱に置換 (ちかん) されたものがあります。このような化石が発見される地層は有機物 (ゆうきぶつ) を多く含んだ黒色泥岩で、母岩にも黄鉄鉱の結晶を伴っています。このような泥岩は、硫化水素 (りゅうかすいそ) に富んだ無酸素 (むさんそ) の海底でできたと考えられています。

黄鉄鉱化した化石としてよく紹介されるのはアンモナイト(図5-10)ですが、それ以外にも腕足類(図5-11)やウミユリなど、さまざまな種類の化石が知られています。また無酸素の海底には、生物の死骸 (しがい) を食べる腐肉食 (ふにくしょく) 動物や分解する微生物も少ないので、すばらしい保存状態の黄鉄鉱化した化石が発見されることもあります。ドイツ西部のハンスクリュック頁岩 (けつがん) (古生代デボン紀前期)がそのような化石を産出する地層として有名です。