企画展ミネラルズ

生物・化石と鉱物

◆ 藍鉄鉱化した化石Fossils replaced by vivianite

図5-12
藍鉄鉱
【ウクライナ、クリミア半島 左右 5cm】
二枚貝の殻の内部に生じた結晶。
図5-13
藍鉄鉱
【熊本県熊本市 左右 5cm】
新生代第四紀更新世。淡水湖に堆積した泥岩層から産出する。この標本では、木の葉の一部が置換されている。

藍鉄鉱 (らんてっこう) は、鉄と燐酸 (りんさん) からできた鉱物です。金属鉱床 (こうしょう) の風化した部分に二次的に生じるほか、淡水性の堆積岩の中などから産出します。

この鉱物は、地中から掘り出すと色が変わることでも有名です。本来は無色透明ですが、掘り出すとすぐに灰青色に、さらに濃青色から濃緑青色に変わります。これは藍鉄鉱の表面の鉄分が、空気中の酸素により酸化されて起こる現象です。

堆積岩に伴って産出する藍鉄鉱の中には、化石を置換 (ちかん) したり、化石の内部に成長したものがあります。ウクライナからは、内部に多数の針状の藍鉄鉱が生じたり(図5-12)、内部を完全に藍鉄鉱で充填されている貝化石が知られています。また熊本県からは、木の葉などの植物が藍鉄鉱に置き換わった化石が産出します(図5-13)