企画展ミネラルズ

身のまわりの鉱物

◆ コランダムCorundum

コランダム(鋼玉 [こうぎょく] )とは、酸化アルミニウム(Al2O3)からなる鉱物です。結晶の形は、六角形の板状 (ばんじょう) 柱状 (ちゅうじょう) です。とくにクロムを含んで赤色をしているものをルビー(図4-5)、それ以外の色(青とは限らない)はサファイア(図4-6)といいます。非常に (かた) い物質で、モースの硬度計 [こうどけい] (鉱物の硬さを相対的 [そうたいてき] に示す基準)ではダイアモンドに次ぐ硬度9とされています。粉末状の合成品は研磨剤として使われています。

ルビーは、人類が最初に合成した宝石です。このときの方法は、粉末にした原料を高熱の炎で溶かしてつくるというもので、考案者の名前をとってベルヌーイ法(別名、火炎溶融法 [かえんようゆうほう] )といいます。こうして細長く丸い棒状 (ぼうじょう) の結晶が得られます(図4-7)。また、ルビーに限らずスタールビーやサファイア、スターサファイア(図4-8)、さらに、コランダム以外の鉱物もこの方法で合成されています。現在ではベルヌーイ法以外にもいろいろな合成方法が実用化され、さらに良質な結晶が生産されています(図4-9,4-10)が、ベルヌーイ法は他の方法に比べて簡単で安上がりに製造できるので、現在でもよく採用されています。

合成ルビーは、宝飾 (ほうしょく) 用のほか、時計の部品などの精密機械やレーザー発振子 (はっしんし) など、工業用にもいろいろな用途があります。

図4-5
コランダム(ルビー)
【インド 画面の左右 6cm】
 
図4-6
コランダム(サファイア)
【奈良県香芝市 左右 0.7cm】
 
図4-7
ベルヌーイ法でつくられたコランダム(ルビー)
【左の長さ9cm】
ベルヌーイ法では、このような棒状の結晶ができる。
図4-8
ベルヌーイ法でつくられた合成コランダム
(ルビー、スタールビー、サファイア、スターサファイア)
【長径0.8〜19cm】
カット、研磨したもの。
 
図4-9
フラックス法という方法でつくられたコランダム(サファイア)
【長さ2.45cm】
金属化合物(溶剤、フラックス)の中に原料を入れて溶かし、ゆっくり冷却して結晶を成長させる。ベルヌーイ法による結晶より天然に近い結晶ができる。
図4-10
フラックス法でつくられたコランダム(ルビー)
【画面の左右2.2cm】