企画展ミネラルズ

鉱物のもつさまざまな性質

鉱物を観察する場合、まず目が向くのはその色と形です。しかしそれ以外にも、鉱物の種類によって、光沢・硬さ・割れ方などにさまざまな特徴があります。肉眼で鉱物を識別する場合も、これらの特徴が識別の手がかりになります。

◆ 孔雀石Malachite

◆ 藍銅鉱Azurite

図3-1
孔雀石【コンゴ 横 16cm】
右下に鍾乳石状の縞模様が見える。
図3-2
藍銅鉱【中国湖北省 横 14.5cm】
緑色の部分は孔雀石と思われる。

孔雀石 (くじゃくいし) () い緑色の美しい鉱物です。銅を含む鉱物が雨水によって溶け出し二次的に沈着 (ちんちゃく) したもので、銅の鉱山の地表近くの風化帯にできます。銅の表面にできる緑色のさび(緑青 [ろくしょう] )と同じような成分で、できかたもよく似ています。針状の結晶になることもありますが、ふつうは塊状 (かいじょう) 腎臓状 (じんぞうじょう) で、断面には鍾乳石 (しょうにゅうせき) に似た縞模様 (しまもよう) があります。これがクジャクの羽を思わせるところから孔雀石の名前がつけられました。銅鉱石として、また色と模様をいかしてアクセサリーや工芸品に加工されるほか、粉末は顔料 (がんりょう) や日本画の岩絵具 (いわえのぐ) にも使われています。

でき方や成分が孔雀石とよく似ている鉱物に、藍銅鉱 (らんどうこう) があります。よく孔雀石とともに産出します。名前のとおり濃い藍色をした鉱物で、光沢 (こうたく) のある結晶をとることもありますが、多くは塊状です。藍銅鉱も銅鉱石として、また顔料やアクセサリーに利用されます。