企画展ミネラルズ

四国の鉱物

◆ ルチルRutile

図6-5
ルチル
【徳島市眉山 画面の高さ 8.5cm】
図6-6
ルチル
【徳島市眉山 画面の左右 2.0cm】

酸化チタンの鉱物のひとつで、金紅石 (きんこうせき) ともいいます。高い屈折率(最高 2.9)を持った鉱物で、大量に産出する場合はチタンの鉱石として採掘されます。ルチル入りの水晶(図2-4)は、アクセサリーに加工されます。国内から産出するほとんどのルチルは顕微鏡的なサイズで、大きな結晶はあまりありません。

徳島市眉山では、かつて大型のルチルを産出したことがあり、研究者やコレクターの間では有名です。全国各地の大学や博物館などに眉山産の標本が収蔵・展示されています。

図6-5は、石英脈 (せきえいみゃく) の中に入った長柱状の結晶です。眉山産ルチル中でもおそら く最大クラスで、結晶の長さは少なくとも5.5cmあります。この標本の採集時期は不明です。

図6-6も石英脈の中に入った柱状結晶です。途中で折れているので長さは不明ですが、断面は見ることができます。鉱物研究者・コレクターとして有名だった篠本二郎氏が明治時代に採集したと推定される標本で、ドイツの有名な標本商であるクランツ社から間接的に買い戻したものです。同時に購入した別の眉山産ルチル標本には、採集者の手によるラベルがついていました。

なお、かつてルチルを産出したと言われている場所に行っても現在は何も残っておらず、観察や採集を行うことは全く不可能になっています。