企画展ミネラルズ

岩石をつくる鉱物

◆ ざくろ石Garnet

図2-30
アルマンディン(鉄礬ざくろ石)
【中国雲南省 径2.8cm(左)、2.2cm(右)】
個人蔵
左の結晶は中間形の36面体、右はほぼ24面体の形態を示す。
図2-31
ウバロバイト(灰クロムざくろ石)
【ロシア 横2.6cm】
緑色の12面体結晶。背後の紫色は菫泥石。

かなり複雑な化学組成を持つグループで、10種類以上に分類されています。

よく12面体(図2-35)や24面体(図2-30の右)、さらに両方の入り交じった36面体(図2-30の左)の結晶になります(図2-32)。球形に近い、対称性 (たいしょうせい) の高い形を示す鉱物の一つです。

種類や化学組成によって色はさまざまで、赤〜茶褐色 (ちゃかっしょく) のほかに、緑(図2-31)やほぼ白色(図2-36)のものもあり、中には虹色 (にじいろ) を示すものもあります。

ざくろ石は、おもに変成岩 (へんせいがん) 火成岩 (かせいがん) に含まれています。産出が限定されている種類もありますが、グループ全体で見ると、ごくふつうの鉱物です。広域変成岩では、中に含まれるざくろ石の種類によって、変成作用の強さを知ることができます。一般に、変成度が上がるにつれ、スペサルティン(満礬 [まんばん] ざくろ石:図6-8)、アルマンディン(鉄礬 [てつばん] ざくろ石:図2-30,2-33,2-35,6-7)、パイロープ(苦礬 [くばん] ざくろ石:図2-36)と変化することが知られています。

図2-32 ざくろ石の結晶形態
2面体と24面およびその中間形が多い。Hurlbut and Klein (1977)を改変。
図2-33
アルマンディン(鉄礬ざくろ石)
【アメリカ、アラスカ州 左右9cm】
結晶片岩の中に入っている。
図2-34
グロシュラー(灰礬ざくろ石)
【マリ 径4.0cm】
図2-35
アルマンディン(鉄礬ざくろ石)
【オーストラリア 径10cm】
大型の12面体結晶。
 
図2-36
パイロープ(苦礬ざくろ石)
【イタリア 左右8.5cm】
わかりにくいが12面体結晶。このような自形結晶のパイロープは珍しい。
図2-37
ウバロバイト(灰クロムざくろ石)
【フィンランド 結晶の幅0.5cm】
クロム鉱石によくみられるが、大きいものはない。