岩石をつくる鉱物
◆ 方解石Calcite
図2-27
再結晶石灰岩 (大理石)
【中国雲南省大理】
「大理石」の名前はこの産地に由来する。
炭酸カルシウム(CaCO3)からなる鉱物です。同じ化学組成を持った鉱物に霰石がありますが、地表の温度・圧力条件では方解石の方が安定なので、霰石は長い時間のうちに方解石に置き換わる傾向があります。
方解石は堆積岩に多い鉱物です。とくに、アンモナイトや殻が合わさった二枚貝化石の内部などに方解石の結晶ができていることがあります。また石灰岩は、方解石を主成分とする堆積岩です。熱や圧力をほとんど受けていない石灰岩では肉眼的な大きさの方解石結晶はありませんが、再結晶した石灰岩(大理石:図2-27)の破断面には、方解石の劈開面がよく見られます。また鍾乳洞をつくる鍾乳石も、おもに方解石からできています。これとは別に、日本からは産出しないものの、方解石など炭酸塩を主成分とした火成岩(カーボナタイト:図5-3)もあります。
純粋な方解石は無色透明ですが、不純物を含んでいて色づいていることがよくあります。鉱物としてはやわらかい方で、ナイフで簡単にキズをつけることができます。特定の3方向にきれいに割れる性質があり、塩酸をかけると激しく発泡します。
方解石は、6 角錐状・6 角柱状・菱面体(立方体を斜めに傾けたような菱形の立体)・板状など多種多様な形の結晶をとります。図2-28で示したものは長柱状の結晶です。
また、岩石のすき間に図2-29のような形になって産出することもあり、山サンゴとよばれています。山サンゴは方解石だけではなく、霰石や両方の混合物からできていることもあります。この標本では、透明感のある部分が方解石、白色のところが霰石です。この標本では、方解石本来の結晶の形は見ることができません。